Curtis Mayfield – New World Order

私とカーティス・メイフィールドの出会いは、10代後半にはまっていたゴスペル、R&B系のコーラスグループ、The Impressions(インプレッションズ)でした。

当時は50年代のロカビリーやR&Rにどっぷりで、イギリスのThe Piratesやデビューしたてのストレイ・キャッツを目指してゴリゴリのトリオバンドを組んでいました。

たしかバンド名は、同じころ新日本プロレスで一世を風靡していたタイガーマスクの宿命のライバルで、イギリス出身のパンキッシュなレスラー、ダイナマイト・キッドにちなんで、「The Dynamaite Kids」だったと思いますw

当然のごとく、50年代の米国音楽を買いあさっているうちに、THE DELLSやFRANKIE LYMON & THE TEENAGERSといった黒人ボーカルグループに興味をもつようになり、その流れでインプレッションズにたどり着きました。

といっても、いわゆるフィフティーズのドゥーワップ系ではなく、60年代のR&Bに近いジャンルですが、なによりも私を興奮させたのは彼らの楽曲がものすごく上質だったことです。

たとえば、のちにロッド・スチュワートとジェフ・ベックがカバーして日本でも一躍メジャーになったこの『People Get Ready』。

同じく、ジェフ・ベックBBA名義のアルバムでひときわ輝くバラードナンバーの『I’m So Proud』。うん、ジェフ・ベックはかなりインプレッションズが好きなんでしょうねw

なんというか、琴線に触れずにはいられない、ちょっと不思議で感動的な、ほかにはない独特のメロディーラインなんです。それでいてコード進行はいたってノーマル。うまい! としかいいようがないセンスです。

そして、これらの楽曲を創ったのがのちにソウルやファンク界のレジェンドとなるカーティス・メイフィールドだっというわけです。

もちろん、インプレッションズから独立してソロになったカーティスもめちゃくちゃ好きですw まずはブラスのイントロがめちゃくちゃクールな『Move On Up』!

映画のサントラにして彼の代表作『Superfly』だったらスィートなソウルナンバー『No Thing On Me』が最高のお気に入り!

という具合に次々と名盤を出し続けていくカーティスですが、90年にコンサート中の照明落下事故により、下半身不随となってしまいます。

再起をかけてリハビリを続けるカーティスのために、94年、スティーヴィー・ワンダー、アレサ・フランクリン、エリック・クラプトン、ホイットニー・ヒューストン、レニー・クラヴィッツなどの豪華メンバーによる、『A Tribute To Curtis Mayfield』というトリビュートアルバムがリリースされました。

この顔ぶれを見ても、彼がどれだけ多くのアーティストに尊敬され、愛されていたかわかりますね。その甲斐あってか、事故から6年後の96年にミラクルが起こります。

なんと、新譜をひっさげて見事にカムバックを果たしたのです! そう、数あるカーティスのアルバムの中で私がもっとも思い入れがあり、もっとも愛しているのが彼の遺作でもあるこの『New World Order』です。

カーティスがこの世を去ったのは99年。享年57歳なので『New World Order』をリリースしたのが53歳か54歳ということになります。まさに現在の私の年齢と同じなんですw

事故で重傷を負い、6年のブランクを経てもなおこれまでの作品に勝るとも劣らない新譜を創れるという事実。そこには人間の計り知れない可能性を感じるとともに、老いがけっして衰えではないということを証明してくれているようで、聴くたびに大きな勇気をいただいています。

とにかく中身は充実のひと言。それこそインプレッションズ時代から90年の『Take It to the Streets』にいたるまで、彼の音楽の集大成を見せられているような内容です。しかも、どちらかというとメロディー重視に創り上げてきているところが私の趣味にドンズバ。

歌も演奏もソングライティングも、アルバム全般にわたって完全に脱力した感じがして、音楽における悟りの境地に達しているかのような感じを私は受けています。やっぱり、目指すはこの地点なんだなとw

中でも群を抜いて好きなのがラストを飾る『Oh So Beautiful』です。スローで重厚なリズムにメロウなメロディーが乗るという彼の十八番ですが、この世に残した最後の曲と思って歌詞を読むとこの曲の意味合いがとても大きいことがわかります。

冒頭のラップでカーティスはこう呼びかけています。

This is Curtis.
Never forget the life we live is oh so beautiful

「やぁ、カーティスだよw
僕らが営んでいるこの人生って、
それはそれは美しいんだってことを
なにがあっても忘れないでくれよ」
(ZONO訳)

なんとなく気分を高揚させてくれるアゲアゲ系の音楽はたくさんありますが、魂を元気にしてくれる作品にはめったに出会えません。私にとって『New World Order』はまさにそれをやってくれる貴重な1枚ですw

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Curtis Mayfield - New World Order
Curtis Mayfield – New World Order