Brand New Heavies – Brand New Heavies

80年代後半にイギリスで巻き起こったアシッドジャズやジャズファンクのムーブメントには私もどっぷりとはまっていました。なかにはルックスだけの見かけ倒しバンドもけっこういましたが、今回紹介するブラン・ニュー・ヘヴィーズは楽曲のよさと演奏力の高さで完全に私をノックアウトしたバンドのひとつです。

もともとはアシッドジャズ系のインストバンドで、主要メンバーはいまも変わらず、ギターのサイモン、ベースのアンドリュー、ドラムのジャンの3人です。その後、90年に初代ボーカル、ジェイ・エラ・ルイスを迎えてブラン・ニュー・ヘヴィーズが誕生しました。

彼らが90年に当時一世を風靡したAcid Jazzレーベルからリリースした純ファーストアルバム『Brand New Heavies』は、長年にわたって聴き続けてきたフェイバリットであり、間違いなく私の強力なルーツとなっている1枚です。

「へビーズ」だから象のジャケットかい! とツッコミを入れたくなるようなベタなジャケットを渋谷のアナログレコード店でゲットし、家に帰ってターンテーブルに乗せたときのときめきはいまでもはっきりと覚えています。

サイモンの心地よいカッティングと色気たっぷりのオブリガード。曲の彩りをしっかりと決めてくれるアンドリューのベース。前に出すぎず、ジャズメンのようにおいしいところだけをもっていくジャンのドラム。

ポップ過ぎず、渋すぎないちょうどいいクールさ。イギリス人ならではのちょっと洗練されたコードとメロディー。まぁ、なにもかもが私のツボにはまりまくっていました。

ところが、91年にリリースされたセカンドアルバム以降、なぜかこのバンドへの愛は一気に冷めてしまいます。年を経るごとにどんどん洗練されていってソウルの本流のようなサウンドになっていくのがつまらなく感じてしまったのです。

当時はまだインターネットなどなく情報源が乏しい時代でした。ずいぶんあとになって知ったのですが、2枚めからは米国のレーベルと契約し、ボーカリストにも米国出身の歌姫、エンディア・ ダヴェンポートをボーカルに迎え、完全にUSA市場を狙った音作りになっていたわけです。

おそらく、その大胆な路線変更が若いころの私にはなにか鼻につく感じがしてしまっていたのだと思います。「だったらアース・ウィンド・アンド・ファイアー聴けばいいじゃん」てな感じでいじけていたんでしょうw

おもしろいことに、セカンドアルバムのタイトルもファーストと同じ『Brand New Heavies』。曲もほぼファーストと同じです。違うのはボーカルがめちゃくちゃ歌のうまいダヴェンポートに変わったことと、おそらく制作費が桁違いに増えたことだと思います。米国では格段に音質と歌質が向上したこちらがファースト扱いとなりました。

純ファーストがインディーズ盤でセカンド(米国のファースト)がメジャー盤みたいな感じだったのかもしれません。

同じ楽曲を聴き比べてみるとその差は歴然。まずは初代のジェイ・エラ・ルイスで『Dream Come True』から。初期のメンバーによるかなりレアなライブ映像です。

いやー、本当にイギリスですね、この感じ! Edwin Mosesの記事でも書きましたが、まさにブルーアイドソウルです。ボーカルのジェイも髪型とか最高じゃないですか? しかし、こんなライブ見せたれたら絶対にファンになっちゃいますねw

続いてはエンディア・ ダヴェンポートが加入して三周りくらい本格派になった『Dream Come True』をどうぞ!

どうでしょう? まったく違うバンドみたいですね。もう最初の一声で勝負ありです。どう見てもダヴェンポートのほうがヒットしそうだし、「こっちはなんか一流!」という感じが醸し出されています。

残念ながらジェイ版は見つからなかったのですが、この『Stay This Way』もファースト収録かつダヴェンポートで再録された曲。なんとあのソウルトレインに出演したときの映像です。

うん、ソウルトレインに出てもまったく違和感ありません。しっかりとアメリカナイズされてます。なんとなくドアーズの『ハートに火をつけて』を思わせるコード進行も出てきたりします。

それでも、当時の私はちょっとイナタい初期メンバーでないと感じないカラダだったんですね。まぁ、ある種の性癖のようなものですw

ただし! 年月は人を変えてしまいます。実をいうと、いまの私はセカンド以降のブラン・ニュー・ヘヴィーズも大好きですw 冷静に聴いていくと、アルバムごとに確実に進化しているし、常に志し高く、良質な音楽を創ろうとするメンバーの意識なども見えてくるような気がします。

とくに4枚目の『Brother Sister』! この『Dream on Dreamer』なんてほんとにヤバい。

やっぱりダヴェンポートっていいボーカルだと改めて思い知らされます。

そして5枚目の『Shelter』に収録されたこの名曲『You Are the Universe』!

いやー、この曲は本当に好きですw このアルバムでボーカルがサイーダ・ギャレットに変わるのですが、いま見ると彼女が入ったブラン・ニュー・ヘヴィーズはちょっと初期の感じに戻った感じがします。ややイギリスぽさを取り戻したみたいな。

ビデオでサイモンが弾いているのはおそらくモズライトのギターですね。たぶんこの人、相当なギターフリークだと思います。

ちなみに、この曲のベースはめちゃくちゃかっこよくて、YouTubeにはアマチュアによるベースコピー映像が数多く上がっています。この人がイチバンうまいかな?

こうやってベースだけピックアップして聴けると、やっぱりアンドリューのベースラインが曲の表情というかコンテキストを決めていることがよくわかりますね。それにしてもこの方、エンディングあたりのドヤ顔が最高ですw

というわけで、昔ほどのこだわりをすっかり失ってしまった私ですがw、やはりおすすめするとしたら、文字どおりすり切れるほど聴いたこの1枚。純ファースト、初期メンバーによる『Brand New Heavies』になってしまいます。

彼らの特徴として、ほとんどのアルバムに出発点であるアシッドジャズ系インストを録音している点が挙げられます。「これがオレたちのルーツなんだ」といわんばかりに、あえて歌のないインストを1曲めにもってくることもあり、やっぱりとんがってるなぁと感動することも。

もちろん、『Brand New Heavies』にもかなりの数のインストが収録されています。そのあたりも含めてぜひ、楽しんでみてください!

Brand New Heavies – Apple Music

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Brand New Heavies - Brand New Heavies
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