Gil Scott-Heron – Pieces of A Man

「黒いディラン」と呼ばれ、音楽家というよりは詩人という肩書きがふさわしいギル・スコット・ヘロン。

彼の音楽に最初に触れたのは20代半ばの1980年代後半でした。たしか、イギリス系のアーティストがこぞってアシッドジャズやジャズファンクと呼ばれるジャンルに傾倒し始めた時代で、そのルーツとしてよく名前が挙がっていたことから、ぜひ聴いてみたいと思ったのがきっかけです。

ただこのギル・スコット・ヘロン、日本ではかなりマイナーな存在で、当時はまだCD化されていなかったのはもちろん、中古レコード店でも滅多にお目にかかれないレア物で、運良く発見できたとしても4桁はくだらない大貴重盤でした。

そんななか、私が興味をもったとたんにアナログ版の数枚が再発されるという奇跡が起こり、さっそく買って聴いてみたところ、あまりのかっこよさにあっという間にギルの世界にのめり込んでしまいました。

その後、再発されなかったものは新宿、国分寺、立川、国立あたりの中古レコード店を足しげく歩き回り、いつしか彼のすべてのアルバムをゲットするほどのマニアになっていた次第です。

彼の持ち味のひとつである詩の朗読はのちのラッパーたちに大きな影響を与えたと言われ、カニエ・ウェストなどは自身の楽曲にギルのサンプリングを多様していたりします。

朗読系ではパーカッションをバックにしたこの『Comment #1』などが有名ですね。

ただ、私が惚れ込んだのはこの路線ではなく、この『The Bottle』に代表される歌モノ系です。このライブ版はイントロがめちゃくちゃ長くて3分くらいからいわゆる『The Bottle』本編が始まります。再生ボタンを押したらしばしお待ちをw

なんというか、全米ヒットチャートにランクインするような王道ソウルの「花」がまったくないんですw それとはまた別のクールな闇というか、凍り付くような緊張感というか、ある意味ジャズに近い独特の雰囲気を感じます。

歌も超絶にうまいわけはなく、メロディーも地味ですが、それがまた一般的なソウルとは一線を画しているように思えて、まぁひと言でいうととにかく「かっこいい!」に尽きます。

ちょっとメロウなこのあたりの曲も、ギルがやるとまぁ男らしくヤクザですw

この『We almost Lost Detroit』が収録されている『Bridges』というアルバムもお気に入りの1枚です。珍しくフィーチャーされたシンセサイザーが最高! まだiTunesなどでダウンロード購入はできませんが、YouTubeにフルアルバムが上がっているので、削除される前にぜひ、聴いてみてくださいw

さて、そんなギル・スコット・ヘロンの作品の中でも私のイチオシが今回紹介する『Pieces of A Man』です。なんというか、彼のすべての魅力が1枚に凝縮された集大成のような感じで捉えています。

1曲目の『The Revolution Will Not Be Televised』は彼の代表曲のひとつで、転調しながら延々とグルーヴするドラム、ベース、フルートをバックに「革命はテレビでやらないんだぜ!」と、ギル風ラップが奏でられます。うん、やっぱりギルといえばフルートですね。

メロウで泣ける『Save The Children』や軽快で都会風の『When You Are Who You Are』など、ポップなナンバーも盛りだくさんで、 ギル・スコット・ヘロンの入門としても最適ではないでしょうか。

おそらく、私がもっとも多く聴きまくり、もっともたくさんの影響を受けたのがこのアルバムだと思います。間違いなく私自身の、そして蒼いライオンのルーツのひとつです。

うれしいことに、『Pieces of A Man』はApple MusicでもGoogle Musicでも配信されています。 ぜひ、今日の通勤時間などに聴いてみてください。ノックアウトされること間違いなしですw

Pieces of A Man – Apple Music 

Pieces of A Man – Google Music

Gil Scott-Heron - Pieces of A Man
Gil Scott-Heron – Pieces of A Man